学会長挨拶
第65回日本視能矯正学会
学会長 内川 義和
国際医療福祉大学 保健医療学部
視機能療法学科 教授
第65回日本視能矯正学会は、2024年11月2日(土)・3日(日)の2日間、宇都宮市のライトキューブ宇都宮にて開催させていただくことになりました。開催にあたり、公益社団法人日本視能訓練士協会関係者の皆さま、ならびに会員の皆さまには厚く御礼申し上げます。
本学会のテーマは「つなげる、ひろげる、未来(あす)への一歩」。つながる、ひろがる、ではなく、私たち一人ひとりが主役であるという意味も込めて、あくまでも一人称で「つなげる、ひろげる」といたしました。
長い歴史を有する日本視能矯正学会の主管のお話を頂いた際に、真っ先に思い浮かんだのが「連携」というキーワードでした。折しも、視能訓練士教育の改正議論の最中であり、職種間連携や地域の医療・介護・福祉において、視能のスペシャリストとして視能訓練士が果たす役割について議論が深まっていた時期でもありました。また、様々な医療関連職種の人材を養成する本学では、多職種連携教育や分野・領域を超えた学際的研究も盛んであることから、このような要素を組み込んだ内容が創れないだろうか? と考えを巡らせ、テーマを決定した次第です。多職種との連携や、基礎と臨床の接点など、多領域が関わる学際的研究の視点から、視能訓練士の未来をひろげていく機会・きっかけになればと思っています。
特別講演は、国際医療福祉大学大学院 視機能療法学分野教授 新井田孝裕先生に、多職種・多領域の専門家との連携による学際的研究の成果から、視能訓練士の活躍の場をひろげ未来像を描く機会となるご講演をいただきます。
教育講演1では、東北大学 視覚先端医療学寄付講座 山下勝幸先生に、神経生理学的観点から視神経の発生・再生のメカニズムに関する最新知見について、教育的観点からわかりやすくご講演いただき、基礎と臨床とのつながりを考える機会としていただければと考えています。
教育講演2では、防衛医科大学校 生理学講座 田代晃正先生に、光刺激による不快感や羞明の発症メカニズムについて、動物実験による生理学的検討から得られた新たな知見を踏まえ、まぶしさの神経機構や治療への応用可能性など、教育的観点から分かりやすくご講演いただきます。
教育講演3では、国際医療福祉大学 教授 森圭介先生に、光干渉断層計(OCT)の上手な活用方法について、広角OCTや疑似動画OCTを題材に解説いただきます。目覚ましく進歩する眼底イメージングについて、実践的なご講演をいただきます。
シンポジウム1では、「羞明・疼痛を来す疾患とその治療」をテーマとしました。羞明の神経生理学的な機序を理解した上で、羞明・疼痛を来す疾患と治療について、視能訓練士、眼科医のそれぞれの立場からのアプローチについてディスカッションする機会を設けました。
シンポジウム2は、「フレイルと視機能」をテーマに、フレイルと視機能との関連、高齢者のアイフレイルの実態に関する調査より得られた知見・エビデンスに基づき、フレイルの予防からケアまでを多職種と連携した包括的なアプローチの必要性について考える機会を提供したいと考えています。また、その中で視能訓練士の果たすべき役割についてもディスカッションしていきたいと考えています。
さて、学会場である、ライトキューブ宇都宮は世界的な建築家・隈研吾氏がデザインを監修した北関東初の会議中心型コンベンション施設で、2022年11月に開業しました。JR宇都宮東口駅に直結した大変アクセスのよい会場です。また、会場のある宇都宮市は、東京から東北新幹線で約50分の距離にあり、首都圏からのアクセスが良く、“餃子”に代表される食文化のみならず、渡辺貞夫らを輩出した“ジャズのまち”としても知られています。さらに、大谷石地下採掘場跡を活用した“大谷資料館”をはじめ、少し足を延ばすと大藤のみならず四季折々の花々が楽しめる“あしかがフラワーパーク”、世界遺産である“日光東照宮”や“中禅寺湖”など、観光資源の豊富さでも魅力的な県庁所在地です。学会は3連休の最初の2日間で設定しております。ちょうど紅葉の見ごろを迎える時期ですので、学会参加の翌日に訪れてみてはいかがでしょうか。
参加された皆様の心にしっかりと刻まれ、そして実り多く活気ある学会にすべく準備を進めております。一人でも多くの皆様にぜひとも現地に足を運んでいただき、関連企業の皆様も一緒に、未来につなげる、ひろげる機会にしていただければ幸いです。
多数の皆様のご参加を心からお待ちしております。